時計、光、インテリア・・・境界を超越したTO:CAは、「TAKUMIプロジェクト」の第一弾として生まれた。プロデュースはI.D.E.A International。美しく新しいライフスタイルのプロダクト提案を方
針に、時計、文具、家電、雑貨などの企画・販売をおこなっている。「マーケティングよりもクリエーターの発想を第一に考えました」と語るのは同社の商品企画プロデューサー、五十嵐洋氏。も
のづくりの過程で大勢の声を入れると焦点がずれる。デザイナーのオリジナリティを純粋に商品化することを心がけたという。
デザイナーは岩崎広治氏。2002年、TO:CAのプロトタイプ
となる木製デジタル時計を国際家具デザインフェア旭川に出品。ブロンズレリーフ賞を受賞し、注目を集めた。時計よりもインテリアの一部をつくるという発想でTO:CAをデザインしたという。薄
さ0.5ミリのハードメープルの突板にLEDを透過させ時間を浮き立たせた。透過光を際立たせるため、余分なものを徹底的に削ぎ落とした。操作ボタンは後部に集約され、目覚まし機能は無い。
光を消すと、積み木のようにシンプルなかたちになる。家具デザイナーとしての経験が自然素材とデジタルとの融合で実を結んだ。
そして製作を手がけているのが旭川の匠工芸。質の
高い家具などの木製品で高い評価を得ているクラフトマン集団だ。一点一点手間ひまを惜しまず、納得できるものだけを作り続けている。美しい木肌と継ぎ目がわからない仕上げに確かな技
術がうかがえる。ソリッドでエッジの効いたフォルムはどんなインテリア環境にもマッチする。
「TAKUMI」はこうしたクリエーターの発想とクラフトマンの技術をコラボレートしたプロダクトレーベル
である。現在、TO:CAをはじめ、6製品をラインナップ。クリエーターの立場から「あったらいいな」と思うものをイメージしている。似たようなデザインが氾濫する日本の市場において、高い技術とデ
ザイン性を組み合わせた「新しい発想」、「新しい感覚」のプロダクトを世界に向けて発信している。
プロダクトデザインは機能だけではない。人々の視線を集め、使ってみたいと思わせ
る魅力が不可欠だ。つまり感性への訴求である。ユニバーサルデザインは機能が重視されがちだが、それだけではユーザーの購買意欲に結びつかない。TO:CAは、感性のユニバーサルデザイ
ンに光明をもたらしてくれた。
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