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2.ユニバーサルデザインの事例と動向
 
#67 富山港線「ポートラム」のデザイン力
 
 
 
曽川 大/ユニバーサルデザイン・コンソーシアム研究員
 
取材協力
 

富山ライトレール株式会社

 
 

地方都市で拡散型の都市構造を見直し、コンパクトシティを見直す動きが加速している。閑散とする中心市街地に主要施設を整備し、人々の生活基盤を呼び戻すためだ。自動車の代替交通手段として注目を集めるのが超低床式LRT(軽量軌道交通)である。

写真:斬新で可愛らしいポートラムが市街地を走る

 
ポートラム外観
 

 

 

公共交通を軸とする都市構造の整備
 
 富山市の中心部を斬新なデザインのLRTがゆっくりと走り抜ける。思わずヨーロッパにいるのかと錯覚してしまう光景だ。導入にあたっては富山市長らが先進国のフランスやドイツを視察。まちづくりのシンボルとして、現地に負けない本格的なものをめざした。
 同市が目指すのが公共交通を軸とする都市構造の再整備。そのリーディングプロジェクトとして成功を収めているのが富山港線「ポートラム」である。JRから市が引き取り、公設民営で2006年4月に開業。斬新なデザインと利便性で、またたくまに2倍以上の利用者数を達成した。通勤、通学にくわえ、高齢者の利用が増えたためだ。家に閉じこもりがちだった人に外出の機会を作った意味は大きい。元気な高齢者が増えれば、医療・福祉の行政コストが軽減される。
 富山市は全国でも有数の鉄軌道資源を持つ。それがすべて富山駅に結節する好条件も備えている。今後、ポートラムと富山駅南側の路面電車を接続するとともに、中心部に環状化した市電網をつくり、そのループを結節点とするまちづくりを進める計画だ。さらに北陸新幹線の開業とともに富山駅が高架となり、ポートラムとはエレベーターで結ばれる。
 
 
トータルデザイン
 

 富山ライトレール株式会社経営企画部の奥田さんによると、さまざまな対象物を総合的にデザインコントロールし、その質を高めていくため、トータルデザインを導入した。全体ディレクションを担当したのがGK設計だ。車両や電停、サインやカラーシステム、ICカード関連、広報ツール、ユニフォームや名刺にいたるまでをコンセプトに沿ってデザインした。コンセプトはまちづくりと連携して富山の新しい生活価値を創造すること。さらに街の景観をつくって土地の価値を高めることだ。
 「何はともあれ、まず乗りたくなることです」と奥田さん。格好よくなければ人は乗らない。車両は一部の部品をドイツなどから輸入し日本でつくられたもので、大きな車窓が特徴だ。先進的なフォルムでありながら、2両編成でどこか可愛らしい。ボディのメインカラーには、立山の新雪をイメージしたスノーホワイトを採用。7編成あるので、それぞれに7色のアクセントカラーを配色している。電停は北前船のマストをモチーフにしている。壁面はガラスなので視認性がよく開放感がある。各電停には屋根付きの無料駐輪場がある。また、終点岩瀬浜の電停はフィダーバスと連絡しており、同じプラットホームで乗り換えできる。
 

ポートラムのシンボルマーク
  ポートラムのシンボルマーク
 
カラーシステムのデザイン   カラーシステムのデザイン
 
 
車両のデザイン   車両のデザイン
 
ポートラムのパンフレット
 
市民参加のデザイン
 

 市はまちづくりの一環として市民参加を重視している。収益のためにも市民と企業の応援は不可欠だ。まずは富山港線の愛称を募集。PortとTramの造語でPORTRAMにした。車両も、フェイスデザインは市民アンケートで決定した。電停のガラス面はスポンサーアートだ。風景やお祭りなど地域性をアピールするグラフィックを企業が買い、小さく企業名を入れている。全体で168基あるベンチは、1人5万円で寄贈者のプレートをつける。「ポートラムは自分たちの誇り。自分たちで守っていこうという意識が育っています」。沿線の緑化や花の手入れは地域の人々と一緒に取り組む。自主的にゴミ拾いをしてくれる市民も多い。
 2006年11月には、予想を上回るペースで100万人の乗客を達成。グッドデザイン賞などを次々と受賞した。ポートラムは地域力とともに、デザイン力の効果を全国のまちづくりに示している。
 

電停の写真   写真:電停の壁面はガラスなので視認性がよく開放感がある。企業のスポンサーアートが一面を飾る
 
岩瀬浜の電停   写真:終点岩瀬浜の電停はフィダーバスと連絡しており、同じプラットフォームで乗り換えできる
 
ベンチのプレート   写真:全体で168基あるベンチは、1人5万円で寄贈者のプレートをつける
 
車内の様子   写真:車いすでも乗降しやすい。車窓が大きく快適
 
 
 
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