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ユニバーサルデザインとは?
 
2.ユニバーサルデザインの事例と動向
 
#31 積雪地の都市環境
 
 積雪地では冬期間、点字ブロックは雪に埋もれて意味をなしません。雪国でUDを実現させるには、気候・風土に配慮したローカル・スタンダードが必要です。国土交通省東北地方整備局 岩手工事事務所が実施した「雪国のUDをパートナーシップで考える」、先進的な取り組みを紹介します。(詳細は本誌09号)
岩手工事事務所におけるユニバーサルデザイン導入の背景
ユニバーサルデザイン導入にあたっての取り組み
地域ニーズ把握の方法
ノーマライゼーションの理念に基づく施設整備指針(案)
岩手工事事務所におけるユニバーサルデザイン導入の背景
 
地元の中学生が授業の一環として道路のバリアをチェック 年齢や性別、体の自由・不自由、知覚・行動能力等の違いにかかわりなく、すべての人々にとって便利で安全な環境づくりをめざす「ノーマライゼーション」の理念にもとづき、誰にでも受け入れられ、すべての人々の役に立ち、柔軟に使える「ユニバーサルデザイン」による施設整備への転換が求められるようになってきました。
 岩手工事事務所ではこのような社会変化にともなう多様なニーズに対応するため、「ノーマライゼーションの理念にもとづく施設整備」、言い換えれば「バリアフリーデザイン」から「ユニバーサルデザイン」による公共施設整備を行うことにしました。
【写真:地元の中学生が授業の一環として道路のバリアをチェック】
 
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ユニバーサルデザイン導入にあたっての取り組み
 
 岩手工事事務所では「ユニバーサルデザイン」の導入を前提とした検討を、1999年度から2001年度までの3カ年にかけて実施し、委員会を設立しました。
 従来の多くの委員会が個々の立場で事業者に意見や要望を提示しているのに対して、この委員会は関係者すべてが同じテーブルについてお互いに意見を発表し合い、立場の違う人の意見を直接聞くことにより、お互いの理解を深めると共に、当事者としてまちづくりのための整備に参加しているという認識が生まれることをめざしたものです。
 委員会では、河川・道路施設の現況に対する利用者ニーズを把握するため、「現地点検」や「ニーズ調査」、「小学生聞き取り調査」を実施し、問題点や課題を明らかにするとともに、地域のニーズの把握に注力。
 これまでの調査結果を踏まえた整備基準を中心とする指針全体について検討を行い、委員会の審議を経て、「ノーマライゼーション理念に基づく施設整備指針(案)」を作成しました。
 
資料は岩手工事事務所から提供される   質問にはコーディネータが答える
 
【写真左:資料は岩手工事事務所から提供される、写真右:質問にはコーディネータが答える】
 
総合的学習に組み込まれる見込み   ユニバーサルデザインの地下歩道が計画されている
 
【写真左:総合的学習に組み込まれる見込み、写真右:ユニバーサルデザインの地下歩道が計画されている】
 
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地域ニーズ把握の方法
 
  1. 現地点検
     現地点検は、移動に制約を抱える人とそうでない人が共に参加し、河川や道路施設を「歩いて・見て・感じたこと」を通して、施設の問題点や課題を指摘するとともに、高齢者や障害のある人の気持ちや身体機能の特性について、参加者全員が理解を深めるとともに、共通認識を構築する場でもあります。岩手工事事務所で実施した現地点検は、次のとおりです。

    【 その1 】
     現地点検を冬季に集中(全7カ所)して実施しました。その結果、積雪寒冷地に属する岩手県の気候の特徴でもある積雪や道路凍結の状況を再認識するとともに、健常者が考える以上に車イスや肢体不自由な人が凍結時に移動するのに困難であることもわかりました。

    【 その2 】
     参加者を、委員会のメンバーで構成される「委員班」と、点検個所周辺の住民の方々により構成される「現地班」の2班としました。委員班はできるだけ多くの個所の点検に参加していただくことで、点検個所ごとの比較による意見が得られ、一方、現地班からは日常的な利用において「困ったこと」や「改善すべきこと」などの意見が出されました。これらの意見は、「点検結果とりまとめ」の際にお互いに発表し合い、それぞれの班の考え方、点検個所のとらえ方を理解し、共通認識を深めることにつながりました。

  2. ニーズ調査
     ニーズ調査は、アンケート調査(調査対象者は、委員および自治体、町内会の推薦による)とインターネットによる調査を実施しました。

  3. 小学生聞き取り調査
     指針検討策定委員である小学校の校長先生のご協力を得て、盛岡市立上田小学校、水沢市立常磐小学校において、集団登下校の班長を務める6年生を対象に登下校の際に気づいたこと、危険を感じる個所などを聞き取り、ひやりとする場所やはっとする場所を明記した「ヒヤリ・ハットマップ」を作成しました。
 
さまざまな人がニーズ調査に参加   地域住民が参加する現況調査
 
【写真左:さまざまな人がニーズ調査に参加、写真右:地域住民が参加する現況調査】
 
視覚障害のある人からヒアリング   評論家が1人もいない会議
 
【写真左:視覚障害のある人からヒアリング、写真右:評論家が1人もいない会議】
 
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ノーマライゼーションの理念に基づく施設整備指針(案)
 
 今までの委員会や現地点検等での貴重な意見を踏まえ、安全で快適な河川・道路空間を創るために「ノーマライゼーションの理念に基づく施設整備指針(案)」(以下「指針(案)」という)を取りまとめました。

 河川・道路施設の整備は現行基準にのっとって実施するものでありますが、整備する内容によっては「現行基準に明確に規定されている事項」、「規定されているが明確でない事項」、「現行基準がない事項」の3パターンに分けられます。このうち、特に、「規定されているが明確でない事項」や「現行基準がない事項」については、事業者の判断が求められることになります。

 岩手工事事務所では、岩手県の地域特性や地域のニーズに配慮し、「現行基準がない事項」、「規定されているが明確でない事項」の中でも対応の必要性が高い事項は、利用者にとって使いやすく、便利になるような踏み込んだ岩手独自の基準(ローカル・スタンダード)を規定し「指針(案)」に盛り込みました。
 
現行規定よりも踏み込んだ規定 地域特性等に配慮した規定(ローカル・スタンダード)
 
【写真:現行規定よりも踏み込んだ規定 地域特性等に配慮した規定(ローカル・スタンダード)】
 
現行規定がなく新たに規定、現行規定よりも踏み込んだ規定、現行規定よりも踏み込んだ規定、現行規定よりも踏み込んだ規定・地域特性等に配慮した規定(ローカル・スタンダード
 
【写真:現行規定がなく新たに規定、現行規定よりも踏み込んだ規定、現行規定よりも踏み込んだ規定、現行規定よりも踏み込んだ規定・地域特性等に配慮した規定(ローカル・スタンダード)】
 
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