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ユニバーサルデザインとは?
 
2.ユニバーサルデザインの事例と動向
 
#27 スポーツ施設とユニバーサルデザイン
 
 サッカーW杯の会場となった「エコパスタジアム(静岡)」と「神戸ウイングスタジアム」はユニバーサルデザインが生かされたスポーツ施設だ。両施設をウォッチするとともに、総合型地域スポーツクラブのあり方について考えてみた。(詳細は本誌11号)
ゴール裏スタンドにも車いす席がある「エコパ スタジアム」
すべての人のサイトラインが確保されている「神戸ウイングスタジアム」
総合型スポーツクラブをユニスポ・センターにしよう
ゴール裏スタンドにも車いす席がある「エコパ スタジアム」
 
 静岡県袋井市と掛川市にまたがる小笠山運動公園の広大な敷地内に「エコパ スタジアム」はある。ユニバーサルデザインを県政の柱とする静岡県が力を注いだ施設だけあって、スタジアムだけでなく、最寄り駅と施設を結ぶアクセス、駅舎それ自体にもさまざまな配慮が見受けられる。
 JR愛野駅は小笠山運動公園のために新しく造られた駅で、ユニバーサルデザインの考え方で設計された。同駅から公園入口までの道路は高低差が約10mある上り坂だ。約800mの道路を自力で上っていくのは、身体能力の低い人にとっては厳しい。そのため16m幅の広い歩道には、要所要所にベンチを配した休憩スペースがある。
 スタジアムの正面入口近くにある水飲み台や電話ボックスなどはユニバーサルデザイン仕様だ。スタジアム内の設備もユニバーサルデザインに配慮されている。中でも秀逸なのは、メインスタンド、バックスタンドに加えて、ゴール裏にも車いす席が配置されていること。サッカーの試合では、熱狂的なサポーターの多くはゴール裏に陣取るが、障害のある人の中にもそのような人がいて何ら不思議はない。
 
視覚障害者には多少の段差は境界線を知る目印として必要。車歩道の段差は2cmのセミフラットを採用   ユーザーの選択肢を考えて、急勾配の地点には階段、動く歩道、スロープカー(小型モノレール)の3つを設置している   車いす席は1層目スタンドに1周グルリと設置。ゴール裏にも車いす席が設けられているので、熱狂的な車いすサポーターの1人として一緒に応援できる
 
【写真左:視覚障害者には多少の段差は境界線を知る目印として必要。車歩道の段差は2cmのセミフラットを採用、写真中央:ユーザーの選択肢を考えて、急勾配の地点には階段、動く歩道、スロープカー(小型モノレール)の3つを設置している、写真右:車いす席は1層目スタンドに1周グルリと設置。ゴール裏にも車いす席が設けられているので、熱狂的な車いすサポーターの1人として一緒に応援できる】
 
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すべての人のサイトラインが確保されている「神戸ウイングスタジアム」
 
 神戸市の住宅地に突如として現れるのが「神戸ウイングスタジアム」。中心地の三宮地区から神戸市営地下鉄海岸線に乗って、最寄駅の「湊公園」まで約20分、駅からスタジアムへは徒歩約5分の好立地だ。
 地下鉄海岸線の駅舎はすべて結果として、ユニバーサルデザインの新しい試みがなされているといっていいだろう。例えば身体の具合が悪くなったときなど、緊急時に係員に通報するためのインタフォンが設置されており、そのサインが非常に見やすいこと。精算機の利用案内はタッチパネル方式で日本語に加えて英語も選べること。エレベーターはすべて定員27人の大型タイプで、かご内には犯罪防止を考慮してカメラが付けられており、乗降時の映像が改札階でもホーム階でも映し出されることなどだ。
 スタジアムはW杯の会場となった他のスタジアムに比べて、敷地面積が狭いので小ぢんまりとした印象だ。通路幅も狭い。しかし、ユニバーサルデザインを最初から意識して造られたこのスタジアムには、さまざまな優しさが込められている。例えば、車いす席からのサイトラインだ。サッカーの試合では、ゴール・シーンなどで興奮して立ち上がる観客が多いので、車いす席からのサイトラインが確保されていなければ、いちばん見たいシーンを見逃してしまうことになる。
 
最寄り駅の「湊公園」に設置されている見やすいインタフォンのサイン   車いす席は、ゴールシーンなどで前列の人が立ち上がっても、よく見えるようにサイトラインが日本国内でもっとも確保されていると評判   サッカー専用スタジアムの中でも、ピッチとスタンドの距離が国内でもっとも短い。プレーヤーの息づかいやボディコンタクトが細かくわかるほどだ
 
【写真左:最寄り駅の「湊公園」に設置されている見やすいインタフォンのサイン、写真中央:車いす席は、ゴールシーンなどで前列の人が立ち上がっても、よく見えるようにサイトラインが日本国内でもっとも確保されていると評判、写真右:サッカー専用スタジアムの中でも、ピッチとスタンドの距離が国内でもっとも短い。プレーヤーの息づかいやボディコンタクトが細かくわかるほどだ】
 
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総合型スポーツクラブをユニスポ・センターにしよう
 
 西ヨーロッパ諸国では日常的にスポーツに親しむ人の割合は2人に1人だが、日本では3人に1人。国は超高齢社会をみすえて、スポーツ人口をヨーロッパ並の割合にもっていこうと力を注いでいる。そして、その核となるのが総合型地域スポーツクラブである。
 総合型地域スポーツクラブとは年齢・障害の有無・種目・技術レベルにかかわらず、誰もが地域でスポーツを楽しむことができるクラブのことである。
 すでに全国に多数の総合型地域スポーツクラブが創設されているが、行政主導で生まれたものがほとんどだ。例えば、出雲市では人づくり、環境づくり、システムづくりを3本柱に「出雲スポーツ振興プラン21」が策定され、その精神を生かすべく、NPO法人「出雲スポーツ振興21」が設立された。同法人では市内にある6つの中学校区ごとに総合型地域スポーツクラブの創設をめざしており、すでに活動を開始しているクラブもある。
 文部科学省からモデル市区町村として、2000年度から3カ年にわたり補助を受け、総合型地域スポーツクラブの育成に取り組んでいる練馬区では、区立体育館を拠点とした6つのクラブの創設をめざしている。
 しかし全国的に見ると、施設にバリアがあるため、総合型地域スポーツクラブの多くは障害のある人が容易に参加できるとはいいがたい。東京都にさえ障害者スポーツセンターは2つしかなく、近くに体育館があっても、バリアで使えないのが実状だからだ。また障害者スポーツ指導員の数も圧倒的に不足している。
 総合型地域スポーツクラブをユニスポの拠点とするには、ユニバーサルデザインを理念としたスポーツNPOが総合型地域スポーツクラブの運営に関与することが望まれる。
 
ユニスポNPO
 
【写真:ユニスポNPO】
 
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