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ユニバーサルデザインとは?
 
2.ユニバーサルデザインの事例と動向
 
#04 水辺環境のユニバーサルデザイン
 
〜ユニバーサルデザインで再生される十勝川の親水空間
「母なる大河、十勝川を再生する」
十勝川は全国の河川の中で、流域面積第6位、長さ17位を誇る、母なる大河です。帯広市をはじめとする十勝管内の市町村は、この川の恵みを受けて発展してきました。流域では、治水事業の一環として、洪水から地域を守ることに加えて、水辺の環境保全や自然との共生を目指した川づくりが行われています。
 
水辺の楽校で川と触れ合い、川を学ぶ
ユニバーサルデザインの親水空間づくり
ベテランのガイドが川のことを教えてくれる
喉が乾いたら、ここで水分を補給しよう
車イスでもラクラク、川辺に降りられるスロープ
水辺の楽校で川と触れ合い、川を学ぶ
 
写真:川辺に下りられるスロープを敷設。近隣の小学校でのエコ教育にも利用されている 北海道開発局では、十勝川を再生させるために様々な事業に取り組んでいます。
 例えばAGS(アクア・グリーン・ストラテジー)事業は、河川の緑を再生するプロジェクト。このプロジェクトにより、野鳥や魚類が多数生息できるようになりました。
 数ある事業の中で「水辺の楽校」は、子どもたちが自然と触れ合える身近な遊び場を提供するプロジェクトです。地域の人々が知恵や労力を出し合い、自然体験の場づくりに挑戦しています。帯広NPO28サロン専務理事の太田昇氏は、「エコ教育や福祉教育の一環として、小学校の総合的学習の時間に使用されることも想定」と、「水辺の楽校」の社会的な貢献度を強調。帯広市内には9ヶ所の「水辺の楽校」があります。
 大正地区は、付近に福祉施設があることから、ユニバーサルデザインの視点で整備されました。地域住民から出された、「お年寄りとの交流の場にしたい」「10年後、20年後にも訪れたくなる場にしたい」「車椅子でも通行できる通路がほしい」などの意見や要望がデザインに反映されています。車椅子でも通行できる遊歩道やスロープが完成しており、子どもからお年寄りまでの憩いの場になっています。
【写真:川辺に下りられるスロープを敷設。近隣の小学校でのエコ教育にも利用されている】
 
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ユニバーサルデザインの親水空間づくり
 
写真:十勝川のシンボルである十勝大橋周辺はユニバーサルデザインの親水空間として整備される 北海道の十勝川流域では、既に基盤整備が進む十勝大橋周辺をモデル地区として、ユニバーサルデザインによる親水空間の整備が1999年から進められています。整備主体は北海道開発局と帯広市ですが、計画段階から多数の市民団体が懇談会を通じて、プロジェクトに参加。太田昇氏もその1人です。中学校の社会科の先生を退職してから、市民運動に関わるようになったという太田氏は実に精力的な人物で、十勝川インフォメーションセンター(後述)の運営にも関わっています。「冬季には河川が凍るので、アイススケートをするのにちょうどいい。周辺には直線だけで数キロにわたる天然のスケートリンクになる河川もあるので、ここを利用して、障害の有無にかかわらず、誰もが参加できるウィンター・イベントを開催できたら最高」と、顔いっぱいに笑みを浮かべて、語ってくれました。この人の話を聞いていると、こちらも元気になってきます。年齢を感じさせないエネルギーには脱帽です。
【写真:十勝川のシンボルである十勝大橋周辺はユニバーサルデザインの親水空間として整備される】
 
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ベテランのガイドが川のことを教えてくれる
 
 十勝川を知りたいなら、『十勝川インフォメーションセンター』へ。実際に生息する魚たちの生態を見ることができる水槽や十勝川に関するパネル展示に加えて、ビデオルームや展望室も設置されています。特筆すべきは運営面で、帯広NPO28サロンで研修を受けたOKガイド(帯広観光ガイド)が勤務しています。ベテランのガイドが小中学生に十勝川の歴史や楽しみ方を教えること自体が、ユニバーサルといえるでしょう。ここは世代間交流の場でもあります。
 
写真:十勝川に関するあらゆる情報を入手できる十勝川インフォメーションセンター   写真:インフォメーションセンター周辺はユニバーサルデザインの視点で整備を行っている   写真:市民の環境運動により河川の水質が向上。サケが戻ってきた
 
【写真左:十勝川に関するあらゆる情報を入手できる十勝川インフォメーションセンター、写真中央:インフォメーションセンター周辺はユニバーサルデザインの視点で整備を行っている、写真右:市民の環境運動により河川の水質が向上。サケが戻ってきた】
 
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喉が乾いたら、ここで水分を補給しよう
 
 インフォメーションセンター周辺は、開発局により駐車場の拡張、身障者用駐車マス、車イス用の展望スペース、隣接する清修公園の整備が行われました。園路は砂利敷きから平坦な舗装路へと生まれ変わり、今では車イスでも容易に移動できます。堤防上の道路に設置された高さの異なる水飲み台が設けられています。
 
写真:現状の調査が当事者を入れておこなわれた(第1回)   写真:北海道開発局の職員によるフィールドワーク
 
【写真左:現状の調査が当事者を入れておこなわれた(第1回)、写真右:北海道開発局の職員によるフィールドワーク】
 
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車イスでもラクラク、川辺に降りられるスロープ
 
 十勝川のシンボルである十勝大橋を望む河川敷には、ユニバーサルデザインの親水公園が計画されています。道路と高水敷を結ぶゆるやかなスロープはすでに完成しており、後は親水公園の誕生を待つばかりです。親水公園の整備主体は帯広市で、障害がある人も、小さな子どもも遊ぶことができる、すべての人に配慮したユニバーサルな屋外空間が出来上がる予定です。
 
写真:整備を終えた親水空間を車いすに乗って点検。改善点は次年度の予算編成に組み入れられることも   写真:インフォメーションセンター前で行われた現地調査。階段を下った河辺りに帯広市が整備主体となり、親水公園が計画されている
 
【写真左:整備を終えた親水空間を車いすに乗って点検。改善点は次年度の予算編成に組み入れられることも、写真右:インフォメーションセンター前で行われた現地調査。階段を下った河辺りに帯広市が整備主体となり、親水公園が計画されている】
 
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