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バリアフリーとは発想の起点が異なる |
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ユニバーサルデザインの提唱者はノースカロライナ州立大学(米)のロナルド・メイスである。自身も身体に障害をもつ彼は1980年代、それまでのバリアフリーの概念に代わって、「できるだけ多くの人が利用可能であるように製品、建物、空間をデザインすること」をユニバーサルデザインとして定義した。
一口に障害をもつ人といっても、視覚、聴覚、肢体、内部、知的など、さまざまな障害があるし、同じ障害でも程度の差がある。また誰もが、怪我などで一時的に障害をもつこともあるし、言葉のわからない土地に行けば移動制約者となる。
ユニバーサルデザインは、“すべての人が人生のある時点で何らかの障害をもつ”ということを、発想の起点としている点で、それまでのバリアフリーデザインとは大きく異なる。そこには、可愛そうな人のために何かしてあげようと
いう慈善はない。
障害の部位や程度によりもたらされるバリア(障壁)に対処するのがバリアフリーデザインであるのに対し、ユニバーサルデザインは障害の有無、年齢、性別、国籍、人種等にかかわらず多様な人々が気持ちよく使えるようにあらかじめ都市や生活環境を計画する考え方である。
都市空間であれば、誰もが歩きやすいように電柱を地下に埋設した道路、多言語表記のわかりやすいサインなどがあげられる。建物であれば自動ドアや多目的トイレ、日用品であれば、テレホンカードの切り込みやシャンプー容器のギザギザが、ユニバーサルデザインの代表例だ。
ユニバーサルデザインによって、バリアフリーデザインがなくなるかといえば、そうではない。たとえば、まちでよく見かける黄色の点字ブロックは、バリアフリーデザインの代表例だが、ユニバーサルデザインのまちづくりという全体的なデザインのなかでは、ユニバーサルデザインの一部となる。
ユニバーサルデザインの領域は製品、施設、都市などの目に見えるものから、サービスやシステムなどの目に見えないものまで多岐にわたる。それらが関連し、補完し合わなければ、ユニバーサルデザインの社会は実現できない。
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故 ロナルド・メイス |
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背の高さに無関係に外の様子がうかがえるドアの採光用スリット
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リハビリテーション法は公共の輸送施設など、連邦関係の施設を障害を持つ人に利用しやすくするように規定
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ユニバーサルな遊び場、建築ゾーン
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適正住宅供給法では障害を持つ人が暮らしやすい集合住宅のデザインを義務づけている
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聴覚、視覚、触覚に働きかけているデザインのサーモスタットとリモコン
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広いトイレは車イス利用者に限らず、ベビーカーを携えた親や、大きな荷物をもつ人などにも快適に使える
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